早くも2007年税制改正への動きその3

日本税理士連合会はこのほど、2007年(平成19年)税制改正に関する建議をまとめ、財務省国税庁総務省さらに政府税制調査会等に提出しました。全61項目のうちの一つが特殊支配同族会社に関してです。

「特殊支配同族会社支配同族会社の役員給与に係る損金不算入制度を見直すこと。(法法35,法令72,72の2)2006年(平成18年)度改正による本制度は、個人事業者の法人成りによる節税メリットを抑制し、会社の経費の適正化を図ろうとするものであると説明されている。  しかし、役員給与は既に会社から資金流失しているにもかかわらず、更に会社に課税され、また、節税の目的で設立された会社以外の会社や既存の会社もこの規定の適用を受けることになり制度的に問題がある。個人事業者とのバランスを考えるならば、少なくとも個人段階での税負担調整とすべきである。 なお、当面の措置として、法律の適用停止も含め、対象会社・適用除外要件の大幅な見直しが必要である。」
平成18年度税制改正に関する要望においては2006年の1月26日に日本税理士会連合会は次のような要望書を出しています。
□ 同族会社の支給する役員給与の見直しについて
同族会社の業務を主宰する役員に対して支給される給与のうち給与所得控除に相当する部分として計算される金額は、その法人の損金の額に算入しないとする改正が予定されている。この改正は、実質的な一人会社の法人段階と個人段階を通じた課税ベースを個人事業者の課税ベースとイコールにすることにより、法人成りによる節税メリットを抑制する趣旨であると言われている。しかしながら、法人形態であるものについて個人所得税との調整を図ることは、法人税所得税の租税体系を歪めることになり、また、この税負担の調整は特定の同族会社のみに適用され、他の会社との間に不公平が生じることとなる。さらに、既存の会社については、唐突に税負担を強いるものである。以上から、日本税理士会連合会並びに日本税理士政治連盟は、上記改正について遺憾であり、反対の立場であることを表明する。このような納税者に重大な影響を及ぼす改正については、政府税制調査会等において十分に議論されるべきであり、税制改正手続の透明性を高め、国民の理解が得られるような改正を行うよう要望する。

改正が決まり、法人税申告書の別表が短期間に発表されたことを考えると、用意周到な税制改正の準備があったと思われます。政府税制調査会の議事録によれば確かに議論は少なかったように思われます。


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