手形売却損という科目その3

 従来、手形を割り引いた場合の割引料については、「支払割引料」あるいは「支払利息割引料」の科目で処理してきました。 財務諸表規則においても「支払利息及び割引料」になっています。1999年1月22日に企業会計審議会が定めた「金融商品に係る会計基準」によって、割引手形の性格を売却によって譲渡・消滅した手形と考えることになった後は割引料ではなく「手形売却損」になっています。

従来の会計処理では、割引料として期間按分を行うケースもありましたが、新会計基準では売却損として扱われますので、一時の損失となり、期間按分は行わないことになります。税法では、法人税基本通達2-1-44により、一時に損金に算入することを明らかにしています。
法人税基本通達2-1-44(金融資産の消滅を認識する権利支配移転の範囲)
法人が金融資産(金融商品である資産をいう。以下この章において同じ。)の売却等の契約をした場合において、当該契約により当該金融資産に係る権利の支配が他の者に移転したときは、当該金融資産の売却等による消滅を認識するのであるから、原則として、次に掲げる要件のすべてを満たしているときは、当該売却等に伴い収受する金銭等の額又は当該売却等の直前の当該金融資産の帳簿価額は、当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。(平12年課法2−7「二」より追加)
(1)売却等を受けた者は、次のような要件が満たされていること等により、当該金融資産に係る権利を実質的な制約なしに行使できること。
(イ)売却等をした者(以下2−1−44において「譲渡人」という。)は、契約又は自己の自由な意思により当該売却等を取り消すことができないこと。
(ロ)譲渡人に倒産等の事態が生じた場合であっても譲渡人やその債権者(管財人を含む。)が売却等をした当該金融資産を取り戻す権利を有していない等、売却等がされた金融資産が譲渡人の倒産等のリスクから確実に引き離されていること。
(2)譲渡人は、売却等をした金融資産を当該金融資産の満期日前に買い戻す権利及び義務を実質的に有していないこと。
(注) 新たに二次的な権利又は義務が発生する場合には、2−1−46《金融資産等の消滅時に発生する資産及び負債の取扱い》の適用があることに留意する。


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