税金という国庫歳入を見るその4

小川先生ありがとうございました。主税局広報担当主税企画官 矢野康治さんのメールマガジンの該当する部分を長いですがご紹介しましょう。このような議論が出来ることが嬉しいことです。

先ごろ、財務省から、国のバランス・シート(平成15年度決算ベース)が発表されました。国の財務体質を、毎年の「借金」というフロー(収支)だけでなく、「負債」と「資産」というストック(残高)から見てみましょう。
 一般会計と特別会計を合わせた国全体の資産は、貸付金(289兆円)や有形固定資産(182兆円)等合計695兆円で、負債は、公債(508兆円)や公的年金の預り金(143兆円)等合計941兆円で、資産と負債の差額は▲245兆円です。
 このバランス・シートを見て、「国は公債残高(508兆円)よりも大きな額の資産(695兆円)を持っているじゃないか」という指摘をする人もいますが、これは見方が誤っています。国は、695兆円の資産よりももっと大きな941兆円にも及ぶ負債を抱えており、仮に資産を全部売り払うことができたとしても、手もとには▲245兆円もの負債が残るのです。民間企業で言えば債務超過の状態です。しかも、そもそも民間企業とは異なり、国を清算するということはあり得ないので、資産を全て売却するという想定自体も非現実的です。
 これに対し、「全部は売れないにしても、そのうちのほんの少し売りさえすれば財政赤字は解消するじゃないか」という意見もありますが、これも大きな間違いです。たしかに、695兆円の資産のほんの5%だけでも売れば、財政赤字34.4兆円は消えるかに見えますが、資産(ストック)の売却収入は一度限り得られるものでしかないのに対し、財政赤字(フロー)を埋めるためには毎年の収入を確保し続ける必要があるのであって、ストックとフローの違いを正しく認識する必要があります。 
 突き詰めて言いますと、国のバランス・シートも民間企業のそれと同様に概ね時価評価(値洗い)がなされていますので、何らかの有形固定資産などの「実物資産」を売っても、有価証券などの「金融資産」を売っても、それらの資産が「現金」という資産に振り替わるだけで、資産の総額は基本的に変わらず、国の財務体質は改善しません。唯一、売却によって資産の総額が増えるのは、民営化株の上場初値が上がったりして、時価が膨らむ場合だけです。

このご見解、皆さんはどう思われますか?民間ではまず売却により借金額を減らします。その後残った債務超過をどうしようか考えます。さらに出来ればどう高く売るかを考えます。貸付金ならどう早く返してもらうかを考えます。資産を全部売っても国は清算しなくても済むと思います。借りると言うことが出来ます。

記:税理士・公認会計士・会計事務所の方への実務情報応援団:天野隆。377。

情報満載:「応援します職業会計人」のメールマガジンこちらから:ホームページはこちらから