中小企業の会計基準の意義・目的その1

「中小企業の会計に関する指針」の目的についてご一緒に考えて行きたいと思います。
本指針の目的にはこう書かれています。

「本指針の目的:本指針は、中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものである。このため、中小企業は、本指針に拠り計算書類を作成することが推奨される。また、会社法において、取締役と共同して計算書類の作成を行う「会計参与制度」が導入された。本指針は、とりわけ会計参与が取締役と共同して計算書類を作成するに当たって拠ることが適当な会計のあり方を示すものである。このような目的に照らし、本指針は、一定の水準を保ったものとする。もっとも、会計参与を設置した会社が、本指針に拠らずに、会計基準に基づき計算書類を作成することを妨げるものではない。」

「本指針作成の経緯:旧商法では、計算書類の作成に関して、総則の商業帳簿の規定と、株式会社の計算の規定に定められているほかは、第32条第2項において「公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ」とされていたものの、中小企業が適用することができる「公正ナル会計慣行」とは何かが十分には明確になっていないと指摘されていた。そこで、中小企業が、資金調達先の多様化や取引先の拡大等も見据えて、会計の質の向上を図る取組みを促進するため、平成14年6月に中小企業庁が、「中小企業の会計に関する研究会報告書」を発表した。また、これに呼応して、平成14年12月に日本税理士会連合会が「中小会社会計基準」を、平成15年6月に日本公認会計士協会が「中小会社の会計のあり方に関する研究報告」をそれぞれまとめ、その普及を図ってきた。本指針は、これら3つの報告を統合するものとして、平成17年8月に公表されたものである。今般、会社法会社法施行規則及び会社計算規則の制定に伴い本指針の見直しを行うものである。」

まずこれから読み取れることは、会社法改正を契機に、中小企業の計算書類の信用度を高めたいという事です。適正な決算書には、拠るところの基準を明確にしようとするところから始まりました。まずは「推奨される」という表現から入りました。強制ではありませんが、これに沿った決算書が好ましいという基準を明らかにしたことは、はじめの一歩をスタートしたとも言えましょう。

記:税理士・公認会計士・会計事務所の方への実務情報応援団:天野隆。559
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