粉飾事件と監査法人の責任。その3

ライブドア事件
2006年10月19日付けの共同通信社の記事は次のように記しています。
ライブドア(LD)事件で証券取引法違反有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われたLDグループ元幹部4人の論告求刑公判が19日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれ、検察側はLDの元取締役宮内亮治被告(39)に懲役2年6月を求刑した。 LD元代表取締役熊谷史人被告(28)、ライブドアマーケティング(LDM)前社長岡本文人被告(38)、ライブドアファイナンス前社長中村長也被告(39)への求刑は懲役1年6月。 5月の初公判で、宮内被告ら3人は粉飾決算事件と偽計・風説の流布事件の起訴事実を大筋で認め、熊谷被告は起訴された粉飾決算事件の一部を否認している。次回11月22日の公判で最終弁論があり、結審する見通し。 起訴状によると、4人はLDの前社長堀江貴文被告(33)=同罪で公判中=らと共謀。売り上げと認められないLD株の売却益約37億6000万円や、買収予定企業2社との架空取引による利益約15億8000万円を2004年9月期連結決算に計上し、約3億円の経常赤字を約50億円の黒字に粉飾した。 また熊谷被告を除く3人は堀江被告らと共謀の上、04年10−11月、LDMによる出版社買収で出版社の企業価値を過大評価したほか、LDMの虚偽の決算短信を公表するなどした。 一連の事件では、4人と堀江被告公認会計士2人の計7人と法人のLD、LDMが起訴され、既にLDに罰金3億円、LDMに同5000万円が求刑されている。」
2006年1月23日の読売オンラインの記事は次の通りです。
ライブドアグループによる証券取引法違反事件で、監査法人への信頼が再び揺らいでいる。「偽計」などに加えて粉飾決算の疑いも浮上し、ライブドアの監査を担当する港陽監査法人横浜市)が17日に東京地検の捜索を受け、企業が作成した決算書の正しさを証明する役割を監査法人が十分果たしているのか疑問符がついた格好だ。カネボウ粉飾決算など監査法人が絡む事件が後を絶たず、監査の精度を高めるため、さらなるルール整備に向けた機運も高まっている。ライブドアグループの証券取引法違反事件では、投資ファンド投資事業組合)を介在させ、ライブドアが実質支配していた子会社が保有するグループ企業の株式を売却し、その売却益をライブドア本体に還流させて、売上高や利益を粉飾していたとの疑いが持たれている。 監査法人は、売り上げ明細や伝票などと帳簿上の残高を照合したり、確認書の形で取引先の残高と照らし合わせることで企業の売上高などを確認している。しかし、監査法人が1企業当たりに投入できる公認会計士の人数や、費やせる時間には制約があり、「企業の取引先の伝票や帳簿まで直接チェックするのは難しい」(公認会計士)という。  また、今回の事件では、情報開示が義務付けられていない投資ファンドのチェック体制の不備も取りざたされている。ライブドアが活用した投資事業組合は、民法上の「任意組合」で法人格がなく、登記したり有価証券報告書を提出する義務がない。投資事業組合そのものは監査対象ではないとされ、外部からは監視しづらいのが実態だ。企業の出資先の投資ファンドを企業の財務諸表でどう扱うべきか、ルールがあいまいだとの指摘もある。」
粉飾事件には監査法人の責任が出てきます。監査法人の交代時の理由の一つに、意見の相違で監査契約を終結することがあります。これは監査法人としてみれば、粉飾決算に加担しなかったというようにも読めます。業務内容には専門家としての責任が求められる今日この頃です。


記:税理士・公認会計士・会計事務所の方への実務情報応援団:天野隆。725。
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