ストックオプション課税で最高裁の判決。その2

2006年10月24日の日経新聞の記事を紹介します。

ストックオプション「加算税は違法」・最高裁
ストックオプション(株式購入権)で得た利益を「給与所得」よりも税額の低い「一時所得」と税務申告したのに対し、ペナルティーとして過少申告加算税を追徴課税したことの是非が争われた7件の訴訟の上告審判決が24日、最高裁第3小法廷であった。同小法廷は加算税を賦課するのは違法として、課税を適法とした二審判決を破棄し、総額約2億6,000万円の課税処分を取り消した。

訴えたのは米マイクロソフトやデル、コンパックシスコシステムズの日本法人元役員ら7人。7人は親会社である米国法人から付与されたストックオプションを行使。1997―2001年分の利益を一時所得として申告したが、給与所得とみなされ、同加算税を含めて追徴課税された。

判決理由で同小法廷は「国税当局は課税上の取り扱いを変更したにもかかわらず、通達で明示しなかった」と指摘。「一時所得に当たると申告しても無理からぬ面があり、納税者の誤りということはできない」と述べ、「加算税を課すのは酷すぎ違法」と判断した。 』
一時所得は認められませんでしたが、加算税は助かりました。第3小法廷は「国税当局は1998年ごろから給与所得として統一的に扱うようになったが、通達を改正した2002年6月までは少なくとも課税上の取り扱い変更を周知しておらず、加算税の課税は不当または酷で違法」と判断ししました。
ストックオプションの利益は、最高裁で2005年1月の判決で「労務の対価で給与所得」との初判断を示すまで裁判例は分かれ、国税当局も1998年までは一時所得として扱ったケースも多かったようです。
9月の訴訟7件の弁論で原告側は「国税は一時所得として長年扱い、一方的に見解を変更して周知しなかった」と主張。国税側は「新聞報道や出版物などで課税上の取り扱いは知ることができた」などと反論していた裁判でした。


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