ストックオプション課税で最高裁の判決。その3
『(3) 我が国においては,平成7年法律第128号による特定新規事業実施円滑
化臨時措置法の改正により特定の株式未公開会社においてストックオプション制度
を導入することが可能となり,その後,平成9年法律第56号及び平成13年法律
第128号による商法の改正によりすべての株式会社においてストックオプション
制度を利用するための法整備が行われ,これらの法律の改正を受けて,ストックオ
プションに係る課税上の取扱いに関しても,租税特別措置法や所得税法施行令の改
正が行われたが,外国法人から付与されたストックオプションに係る課税上の取扱
いに関しては,現在に至るまで法令上特別の定めは置かれていない。
(4) 東京国税局直税部長が監修し,同局所得税課長が編者となり,財団法人大
蔵財務協会が発行した「回答事例による所得税質疑応答集」昭和60年版において
は,外国法人である親会社から日本法人である子会社の従業員等に付与されたスト
ックオプションの権利行使益については,ストックオプションが給与等に代えて付
与されたと認められるとき以外は一時所得として課税されることになるという趣旨
の記述がされ,平成6年版までの「回答事例による所得税質疑応答集」においても
同旨の記述がされていた。課税実務においても,平成9年分の所得税の確定申告が
される時期ころまでは,上記権利行使益を一時所得として申告することが容認され
ていた。
しかしながら,我が国においてストックオプションに関する法整備が行われるに
伴い,課税庁において,ストックオプションの権利行使益は一時所得ではなく給与
所得であるとの共通認識が形成され,平成10年分の所得税の確定申告の時期以降
は,上記権利行使益を給与所得とする統一的な取扱いがされるに至った。平成10
年7月に発行された「回答事例による所得税質疑応答集」平成10年版において
も,外国法人である親会社から付与されたストックオプションの権利行使益は給与
所得として課税されることになる旨の記述がされた。しかし,そのころに至って
も,外国法人である親会社から付与されたストックオプションの権利行使益の課税
上の取扱いが所得税基本通達その他の通達において明記されることはなく,これが
明記されたのは,平成14年6月24日付け課個2−5ほかによる所得税基本通達
23〜35共−6の改正によってであった。』
鳥飼弁護士さんの苦労が分ります。本税と加算税を分けて争ったことがこの結果を招いた模様です。なお会計の世界では給与という認識です。
記:税理士・公認会計士・会計事務所の方への実務情報応援団:天野隆。758。
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