粉飾事件と監査法人の責任。その1

カネボウ事件は公認会計士の逮捕者を生み、さらには中央青山監査法人の業務停止処分、さらにはその名称変更にと多くの影響を与えました。

日経新聞2006年8月9日の記事です。

カネボウ粉飾決算事件で、2003年3月期まで2年間の連結決算の粉飾に関与したとして、証券取引法違反有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた中央青山監査法人元代表社員、佐藤邦昭被告(64)ら元公認会計士3人=いずれも登録抹消=の判決公判が9日、東京地裁であった。毛利晴光裁判長は「多数の投資家の判断を誤らせた許し難い悪質な犯行」として、同被告に懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。 同罪に問われた元代表社員、徳見清一郎(59)、同、神田和俊(56)の両被告はいずれも懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)。判決は顧客の企業との不適切な関係を生む現行制度の問題点、監査法人のチェック体制の不備を厳しく指摘した。 毛利裁判長は「被告らは遅くとも1998年10月ごろには、カネボウの粉飾の実態を具体的に知ったのに、過去の不適切な監査が明らかになり、自分や監査法人の責任が追及されることを恐れ、ずるずると不正経理に加担し、監査報告書で適正意見を付けた」と認定。」

日本経済新聞2006年8月7日の記事です。
中央青山監査法人が2カ月間の業務停止処分の解ける2006年9月1日付で法人名を「みすず監査法人」に変更することが6日、明らかになった。カネボウ粉飾事件で傷ついた信頼の回復を目指し、新法人名で再出発する。  みすずはササの一種で、山地に根強く生える様子から、力強い成長への期待を法人名に込める。法人内で職員から募集した名称案の中から決めた。」
これは歴史的にも重大な事件となりました。監査業界に激震が走ったと言っても過言ではないようです。一流大手監査法人が一夜にして崩壊した事件です。


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